笑ったお陰でかなり気がラクになった。
今回は少し距離を延ばして散歩した。
牧場を出て一般道路を横切って、農家の私道から林の中へと歩いて行った。
既に紅葉も終わり葉が落ちた木々は物悲しさが漂う。
空気も以前よりかなり冷たく感じる。
街ではクリスマスの華やかな飾りで季節を感じたりするけど、ここではそんなの必要ないくらい自然に季節を感じられる。
私は肌にピリッと刺すような冬の空気が好きだ。
似た空気を感じるこの物悲しい林も気に入った。
あまりにも大人しく乗っていたからか、嶋村くんが心配してきた。
「……雪姫、寒くない?」
「大丈夫だよ。……なんか私、乗馬好きかも」
「そっか、良かった。でも、一人で乗れるようにはならないで」
「…?なんで?」
「…なんとなく。乗れるようになったら、ふらっと一人でこういう林に行きそうな気がするから」
そうかもしれない。
もし馬が近くにいる環境だったらきっとそうしてる自分が安易に想像できた。
「それに、雪姫と一緒に乗る口実がなくなるからな」
冗談なのはわかってる。
それでも、こうして嶋村くんと一緒にまた乗りたいと思ってしまったから何も言えなかった。