今朝は肌寒い。



綺麗に掃除されてた暖炉は飾りかと思っていたけどちゃんと薪がくべてあり、パチパチと音を立てて炎が揺らめいてた。

暖炉の近くで体育座りをして膝に顎を乗せてじっと炎を魅入った。



暖かいなぁ…

ここなら嶋村くんが戻ってきても心配かけないよね。

…寝ないようにしないと。




「雪姫〜おはよう。何で起こしてくれないの?」


奏波が化粧バッグを持って来た。

「おはよう。もう少ししたら起こそうと思ってたとこだよ」

「まぁ起きられたから良かったけど、雪姫は起きるの早すぎ」



バッグからブラシを取り出して私の後ろで膝立ちになりながら髪を梳いてくれる。

「今日は寒いから」と慣れた手つきですぐに緩めのハーフアップにしてくれた。



「今日も可愛い♪」

張りのない軟やわな私の髪質が好きだと言って髪をいじるといつもそう言ってくれる。


「ありがとう」

お礼を言ってもまだ鼻歌混じりに私の髪を梳いてる。