「や、さぼっちゃダメ、じゃない?」



「えー!今日だけでいいからっ!」




少しうろたえながら返事をすると、今度は頭を下げられて戸惑ってしまう。




「…、でも……」



「お願いっ!」




もう、ダメだ。

こんなにお願いされたら断れない。

これが好きな人なら尚更。




「今日だけ、だよ?」




私がそう返すと、堤くんはガバッと顔を上げてその端正な顔を近づけてきた。




「ほんとっ!?よっしゃっ」



「ちょ、近……」




後ずさりながら言うんだけど、堤くんの耳には全然入ってないみたいで。

再びギュッと手を握られてしまった。




「っ!」



「じゃあ、行こう!早く行こう!」




ニコニコ顔の堤くんを見ると、“離して”なんて野暮なことは言えない。

だから、火照る顔を俯かせて、ただ堤くんについていくことしかできなかった。