「へ?」




何か危機感を覚えたのか、秀弥君はビクッと肩を揺らして後ろを振り向いた。


そして、私のときと同じように凌を指さして言う。




「うわわっ!!今度は美人さーんっ!!ひゃっほー……痛ッ!!」




そして、私のときと同じ反応をしていると、バシィッと響く、良い音。




「あんた?うるさい原因は。」




その音を発したのは、秀弥君の頭と凌の手。



そうだった……

凌って、寝起き悪いんだった……




「あっちゃー…忘れてたねー。凌ちゃんの寝起きのこと」




言っていることは、失敗したーって感じだけど、表情は笑っているかんじの堤君。


現に、あははっ、仕方ないかって言ってるし。


仕方なしに、私は堤君の腕の中から一部始終を見ることにした。




「大体ねぇ、人が寝てる横であんなギャーギャーとよく言えたもんよね。まあ、それがあんたの性格なら仕方ないんでしょうけど?」




気付けば、凌は足を組んで椅子に座り、秀弥君は床に正座していた。


なんなの、この光景……




「相変わらず、凌ちゃんの寝起きは怖いなー……」




堤君は、私を抱きしめたまま苦笑いしている。


……相変わらず?



私は、まるで以前も見たような堤君の言い方が、妙に引っかかってしまった。