昨日までの私はいつ和希とのデートが入っても良いように特に予定もたてていなかった。それ故、立派なごろ寝休暇になりそうだ。

 休暇の初日は泣いて寝て、泣いて寝てを繰り返し、気付けば夜になっていた。今日はほとんど何も食べていない。空腹なのかすら分からない。

 ーーん?

 突然、枕元のスマホが鳴った。

 のろのろとした動作でディスプレイを確認し、十一桁の番号を見つめた。下四桁が0620で終わる知らない番号だ。

 私の記憶が正しければ、今し方五分前にも掛かってきた間違い電話のはず。

 一瞬無視をしようかと思ったけれど、きっと電話の相手はまだ佐藤さんと連絡が取れていなくて、このまま放置すると何度でも掛かってくると思われた。

 それは流石に迷惑だ。

「……はい」

 さっきと同じ口調で電話に出た。

『……あ。佐藤さんの携帯電話でしょうか?』

 向こうは一度間違っているからか、さっきより丁寧な物言いだった。

「すみません、佐藤さんでは無いです」

『え……、あれ?』

 男性は困ったように独りごちた。

『佐藤さんで登録した番号に掛けてるのにおかしいな……』

「はぁ」