「ちょっ、由香ちゃん!」


「…あ!ごめん!!雛ちゃん…!!」


「ううん、いいの。大丈夫だから…。」



ほら、この空気。
まずいことを言ってしまった、っと感じたくもないのに感じさせられる。
気まずい感じ。


わたしに同情する、申し訳なさそうにしてるこの雰囲気が、1番苦手。



「その、鷹取ちゃん…?っていうモデルさん、どこのリップ使ってたの?」


「あ、ここに書いてあるから読むね!
えーと…。」



雑誌の一部分を読んでいる由香ちゃん。
それを聞きながら、どんな色なのかを想像してみる。


由香ちゃんの話からすると、そのモデルさんは色白美人らしいから。
真っ赤な色のリップも映えそうだなあ。
なんでもキャッチコピーは、赤みがかったリンゴ色に香り咲く薔薇の色。らしい。


どんな色なんだろう。
わたしが買ったら…似合うかな?



「帰りにドラッグストア寄ってみようかな〜?」


「あ!由香も由香も!
雛ちゃんも行く?」


「ううん、わたしは用事があるから。
誘ってくれてありがとう。」