「とりあえずはこれで大丈夫よ。」


「ありがとうございます。」



母さんを待ってる間、養護教諭の先生が雛の手当てをしてくれて。
背中におぶった雛の呼吸が少しだけ、緩やかになった。


痛かったんだね。
ごめんね、傍にいれなくて。



「夜空!」


「母さん。」



養護教諭の先生と特に話すこともなく。
僕はそそくさと、雛を車の後部先に乗せた。


雛を守れなかった自分と、雛を危険な目に合わせた補助の先生も。
全部に腹が立つ。誰も悪くないのは分かっているけれど、無性に腹が立つ。



「雛、ごめんね。」



気を失っている雛の頭をそっと撫でる。


大丈夫かな。頭を打ったりしてないだろうか。
僕がちゃんと傍にいるべきだった。



「ーー夜空、病院向かうよ。」


「母さん。」


「今、学校の先生たちと話してきた。
念の為に病院に向かった方がいいって。あんたが自分を責めることないんだからね。」


「うん。」



母さんはそう言ってくれたけど。
僕は、雛を守りたい。