ー夜空sideー



雛が道を踏み外して落ちたと聞いたのは、帰りのことだった。

ゴールに着いても雛の姿が見えないから探していたら、慌てている補助の先生と体育の先生たちが陰でコソコソ話していたのを見つけて、問い詰めた。



雛、雛、お願い。無事でいて。



「雛!!!」



僕が雛の元に着いた時。
雛はぐったりとしていて、気を失っていた。


雛の体を抱きかかえて、怪我の様子を見る。
膝を擦りむいていて血が垂れていた。
足首も少し腫れてる。



「久我くん!東条さん!」


「気を失って眠っています。
僕の母に連絡して迎えに来るように伝えてください。彼女の両親は共働きですから。」


「分かった。」



僕を追いかけてきた先生たちは。
僕の母さんに電話をかけたり、学年主任に連絡をしたりと手配を進めていた。


他の生徒がいる場所に戻ると騒ぎになるからと言われ、僕は雛を背負ってこの丘の入り口で母さんを待つことにした。