付き合いだしてから今日で3年目。
3の倍数は別れる率が高いと聞く。
ベッドで横になる彼氏をじーっと観察する。
漫画本に夢中のようで私が見ていることに気づかなかった。
浮気も怪しいと思うこともないから別れることはないかな。
そう思いちょっと安心する。
でもマンネリ気味なのは確か。
付き合いたてはキス一つで浮かれていたのに、
今では「ん。」「うん。」
で一日が終わるのもしばしば。
そうだ。
キスで照れるように改めてゆっくりとしてみよう。
そう思い立つと彼氏の横に寝転び顔をじっと見る。
「ん?」
「動かないでね。」
「?、うん。」
ちゅ
ゆっくりと唇に触れると、
それはすごく柔らかくて暖かくて、
彼の一番近くにいるんだというのを実感した。
「どしたの?」
「べ、別に…。」
「…、!」
ニヤニヤして覗き込んできた。
「今更キスで赤くなったの?」
「…うん。」
「あ、そ、そう。
…そんな素直になられると困るんだけど。」
「なんで困るの。」
「調子狂う。」
ちらっと覗いて見た。
「なんで赤くなってるの?」
彼氏の顔を見たらニヤニヤせざるをえなかった。
「みんなよー。」
そう言いながら彼氏は枕に顔を埋めてしまう。
そんな姿が可愛くて。
頭を撫で言う。
「好き。」
「…俺も。」
ぼそっと聞こえた返事。
私の心を掴むのは容易だった。
私は満足して友達への連絡を再開した。
しばらくすると後ろでごそごそと音がする。
何かと思い後ろを向こうとした。
が、その前に抱きつかれてしまった。
「…なに?」
「…家族以外でさ、
こんなに気楽に過ごせるのは、その、まやだけだよ。」
「私も。
その、こーたとの時間はのんびりしてて好き。」
「…まやのさ、ご両親にさ、改めて挨拶してもいいかな。」
「え?それって…」
「…結婚してください。」
「…っ!
はい…!」
私達の人生はこれから。
けれど、この人となら歩んでいける気がする。
いや、歩んでいきたい。
この人とのこの安らかな時間が、
少しでも長くありますように。