にこやかに近づいてきた店員が、すぐさまベッドのうんちくを語りはじめた。周りにあるものとざっと値段を見比べると、ランクがかなり高いものだとうかがえる。

説明に真剣に耳を傾ける一慶を捕まえようという店員の熱意が、ひしひしと伝わってきた。


「ね、いっくん、キングサイズなんて大きすぎるんじゃない?」


こっそりと耳打ちをする。
ひとりで寝るにしてはサイズオーバーだろう。広いベッドが好きだとしても、せめてクイーンサイズではないか。


「願掛けだからいいんだよ」
「願掛け?」


いったいなんの。
首をかしげる美紅そっちのけ。一慶の購買意欲が本気モードになっていく。


「美紅はベッド、どうする?」
「私? 私は今使ってるのがあるから」


わざわざ買い替える必要はない。
一慶はほぼ即決でベッドを決め、ほかにもダイニングテーブルやソファなど大物の家具を次々と選んでいった。