「さてと、出かけようか」


片づけを終えた美紅を一慶が誘う。


「出かけるってどこへ?」
「一緒に住むために必要なものを揃えなきゃならないだろう?」
「ちょっと待って。住むっていつから?」
「今日明日にも」


さも当然のように笑う。


「佐和子にも、なるべく早くってお願いされてるぞ。明日あたりには相手が引っ越してくるんじゃないか?」
「え! そうなの!?」


さっきの佐和子との会話では『近いうちに』と言われただけだ。
でもそれならそうと、なぜもっと早く話してくれなかったのか。ここを出ていくなら出ていくで、いろいろと準備があるのに。


「まぁ佐和子は、しばらくは三人で暮らせばいいって言ってたけど。美紅がそれでも平気なら」
「そんなのお邪魔虫じゃない」
「だろう? なら早いほうがいいんじゃないか?」


一慶がどこか勝ち誇ったようなのは気のせいか。