その赤みをごまかすように尋ねる。
「美紅のご両親にも『ぜひよろしく』って頼まれたしね」
両親のその反応にも首をかしげたくなる。男の人と一緒に暮らすのを推奨する親なんているだろうか。ひとり暮らしに反対なら、無理やり実家に連れ戻すほうが自然だ。
「美紅は相変わらず料理上手だな。うまい」
いつの間にか美紅の席に座った一慶がズズッと味噌汁をすする。油断も隙もない。
でも、どたばた騒ぎですっかり冷めているだろう。
「いっくん、朝ごはんまだなの?」
「佐和子に八時までに来いって言われて大急ぎで来たからね」
「じゃ、食べる?」
「そうしてもらえるとうれしいね」
満面の笑みで言われ、いそいそと準備する。
まだ手をつけていなかったため、だし巻き玉子は美紅の分を譲り、混ぜご飯を握って味噌汁をあたためなおした。
美紅の父親と一慶の父親は高校時代からの友人同士で、家が近所ということもあり母親同士も長い付き合いだ。