「どうせつまんないって言いたいんでしょ?」
「そんな事言ってないだろ? ……まだ」
「……思ってたんじゃん。そりゃ、宮城にとってはつまんないただの公園かもしれないけどさ、あたしにとっては特別な場所なんだもん。
先輩と来た……特別な場所」
思い出してしまった記憶に、少しだけしゅんとしたあたしに宮城は眉を潜める。
「癪に障る言い方だな。俺とだとつまらない場所だって言われてるみたいであまりいい気分じゃないな」
「え……あ、別にそうゆう訳じゃ……ってゆうか宮城そんな事気にするんだ」
あたしがどう感じていようと関係ないと思ってた宮城の意外な発言に、あたしは少しびっくりして宮城を見た。
あたしの視線の先で、宮城は少しの間しかめていた表情をゆっくりと元へと戻していく。
「そう言えばそうだな……ああ、里咲があまりに先輩先輩うるさいからだ。多分」
「別にそんなうるさくはしてないよ。……ってゆうかさぁ、宮城本当は気付いてるでしょ? あたしの恋愛経験が少ない事に。
あたし自慢じゃないけど、宮城に教えられるほど恋愛に詳しくないよ。
デートだってここにしか来た事ないし……他の子当たった方がいいよ」
静かな公園があたしを素直に白状させた。
緑に包まれた、噴水の水の弾ける音が響く空間。
子供達が遊ぶ声もどこか遠くから聞こえてきて、それがなんだか心地いい。
先輩と来た時にはとにかくドキドキするだけで、こんな風に耳を澄ます事なんて出来なかったけど……
こうやってただぼんやりとしているのも……あたしは結構嫌いじゃないかも。
ただ、何も考えずに耳だけを澄ましてぼーっと……
「……経験の問題じゃないだろ」
すっかり忘れていた宮城の存在。
急に発せられた声に、あたしは少しだけ肩を揺らした。
……そっか。宮城いたんだっけ。
あまりにも自然で忘れてた。
あたしが宮城を見ると、宮城は視線を噴水に向けたまま話を続けた。
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