「感情なんて不安定なモンが人に教えられる訳ないだろ。
そうだな……まずは里咲が好きな奴として嬉しいとか楽しいとかプラス的感情を抱くような事だな。
俺が抱く感情と、里咲が抱く感情の差を知りたい。
自分とは違った価値観を持つ人間と接するのは案外楽しいもんだし、そうゆう考え方もあるんだと認識しておくから」
「……それはあたしとデートしたいって事?」
「ああ、そうだな」
自分で聞いておいて、返ってきた答えに恥ずかしくなってしまった。
あまりにストレートに答えるもんだから……準備してなかった胸がトクンと驚く。
だって……あの宮城があたしとデートしたいって……
なに、この展開。
「とりあえず今日の放課後から実行だな。……期待しとくよ、里咲」
「……」
……なに、この展開。
ナンデスカ、コレ――――……!!
※※※
「で? どこ行く?」
「……」
どうしよう……
マジだよ、この人。
帰りのHRが終わるなり、宮城はいつも通り颯爽と教室を出て行ったから、あれは宮城なりの冗談なのかと思って安心してたのに。
校門を出たところで、壁に背中を預けてあたしを待つ宮城に気付いてしまった。
そして、向こうも気付いたらしく、あたしに歩み寄るなりこの質問……
どこ行く?って……えぇええ?!
「里咲、聞こえてるか?」
「っ!!」
1人パニックに陥っていたあたしを、宮城が高い身長をかがめて覗き込んだ。
俯いたあたしを覗き込む宮城の顔の近さに、あたしは思わず肩を竦める。
20cm……ないかもしれない。
じっと見つめてくる宮城に恥ずかしくなって、あたしはそのまま一歩後退してから鞄を胸の前で抱き締めた。
「……聞こえてます」
「聞こえてるなら答えろ。手間を掛けさせるな」
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