憧れの先輩に告白したのは、先週。
直接話した事なんかなかったけど、だけどこの関係を変えたくて、もっと先輩に近付きたくて……その一心で振り絞った勇気。
先輩からOKの返事をもらった時は泣き出すくらいに嬉しかったのに……
電話も、メールさえも出来ないままその関係は終わってしまった。
どうやら元カノからよりを戻したいって言われたらしくて。
先輩は元カノを選んだんだ。
……まぁ、付き合って3日のあたしと元カノじゃ、比べるまでもなかったんだろうけどさ。
だけどだけどだけどだけどっ……あたしは本気で大好きだったのに!!
……それが、憧れかどうかって聞かれれば微妙だったけど。
だけどっ!
はにかんだような笑顔も!
バスケをする真剣な目も!
飛び散る汗でさえ大好きだったのに!!
なのに……
あんな申し訳なさそうな顔で『本当にごめん……』なんて言われたら……笑って頷くしかないじゃない。
……先輩のバカヤロウ。
「……それより、その重たい空気どうにかなんない?」
がっくりと肩を落としていたあたしに言う宮城に、あたしは肩を落としたまま視線だけを横へと移す。
さすがクールビューティとか呼ばれるだけあって、綺麗な顔立ちをした宮城があたしを見つめていた。
切れ長の目は更に細められて、中から冷たく光る瞳が不機嫌を表している。
スッと通った鼻筋、薄い唇、男にしては長い黒い髪。
モテるらしいけど、あたしは興味なんかない。
こんな冷たそうな、歴史の本がお友達みたいな男、好きじゃない。
男ならスポーツしろよ。
昼休みに1人で本とか読むな。
一部の女子の間では「孤立紳士」とか言われてるらしいけど。
ってゆうか、紳士って……まだ高1だっつぅの。
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