あたしはぼんやりと外へ視線を向けた。


外を歩いている人は1人もいない。


その変わり、あちこちに切り刻まれた死体が転がっている。


「このままじゃ太一に会えない……」


それ所か、無事に自分の町へ帰ることができるかどうかもわからない状態だ。


途端に不安が胸に押し寄せてきて息苦しくなった。


今風はやんでいるみたいだけれど、いつまた風が吹きはじめるかわからない。


そう考えると、ここから出ることもできない状況だ。


「そんなに彼氏に会いたいか」


田代さんに聞かれてあたしは大きく頷いた。


そんなの当たり前だった。


あたしはそのためにここまで来たのだから。


「それなら俺が車で連れて行ってやる」