「バウムクーヘン完売!ありがとうございましたぁ!」
下に降りると、飛鳥がそんなことを言っていた。
「完売て…どこかの店員かよ」
と呆れた様子で嶺夜が言った。
そう言えば嶺夜を見かけるのは久しぶりかもしれない。
嶺夜はずっと幹部室の奥の方でパソコンをいじってるし。
誰かがドアを開けても、全く見向きもせずにパソコンのキーをすごい勢いで叩いてるし。
人と関わるより、ゲームでもするほうが好きなのかな。
「何をじろじろ見てるんだ」
と嶺夜に言われ、私はビクッとなった。
「なっ、なんでもないよ!」
やっぱ冷酷男子怖…。
「嶺夜はいっつもそんな態度だから女子にモテないんだよなー。全く勿体ない」
と飛鳥。
「何を。高校生みんなが恋愛するわけじゃないだろ」
「いや、でも恋愛しといた方がいいんじゃないかな〜って思って。嶺夜も一応イケメンなんだから」