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恋音ちゃんは先に外に出て行ってしまったので、部屋には私と嵐くんふたりっきりになった。
「嵐くん…?」
「何、海華ちゃん」
そう答えてくれる嵐くんはどこか冷たい。
「嵐くんって、彼女いるんだよね…?」
と尋ねてみた。
「……いるよ」
「なんでここにはいないの?」
とまた尋ねると、嵐くんは私を睨んだ。
「それ、海華ちゃんに関係ある?」
冷たい声だった。
さっきより全然、冷たさが違う。
「う、ううん、そうだよね、ごめん!」
私は慌てて謝った。
「ごめん、私鮎斗くんと話してくるから下行くね!」
そのままそう言って、私は逃げるように幹部室を後にした。