「ほら、ここに飛鳥がいるよ」
と彼が言う。
私はだっと駆け出して飛鳥に駆け寄る。
「飛鳥…なんで、顔に白い布がかけられてるの…?」
私は急激に体温が下がるのを感じた。
それくらいの意味は、私だって知ってる。
「…っ」
海の目から、一筋の涙がこぼれ落ちた。
「…っなんでよ…!飛鳥に白い布なんてかけないでよ!まだ、生きてるんでしょ!」
と私が言うが、海は返事をしてくれない。
「嘘だって言ってよ…夢なら覚めてよ…っ」
飛鳥。
なにもなかったよ。嘘だよ。心配かけただろ。
なんで、起き上がってそう言ってくれないの?
私は、飛鳥の手に触れてみた。
飛鳥の手は驚くほど冷たかった。
まさか。そんなことあるわけない。
私の目から、涙がぶわっと溢れ出した。
そんな。嘘だ嘘だ嘘だ。
飛鳥が死んだなんて、嘘だ…っ!
「海華…っ、受け入れろ」
海は私を抱きしめた。
「俺だって辛い。みんなだって辛い。それに、日向も。けど、事実は変わらない。受け入れるんだ」
「やだよ…っ」
海の肩が震えているのは分かっていた。