部屋は前と変わらなかった。



乱雑に置かれたペンも、そしてごてごてと貼り付けられた友達との写真も、なにも。



それが嬉しくて、それにそっと触れる。



明日は飛鳥に会える。それがただ嬉しくて、ついつい顔がにやけてしまう。



「海華ー、ココア」



下からお母さんの声が聞こえる。



そうだ、ココアあるの忘れてた。



「今行くー」



私は慌てて階段を降りた。




***




寒い。



なぜ私が寒い中また外に駆り出されてるのか。



それは、ココアを飲み終わった時に遡る。



「海華、ちょっとだけ買い物してくれないかしら」



「えー、なんで。せっかくあったまったのに」



「みんな忙しいのよ。あんた暇でしょ」



ぐ。



みんな忙しいのかは不明だが、私が暇なのは事実だ。



「〜んもう、分かったよー」



というわけで、この寒い中私は冷たい道路の上を歩いている。



はやくいってはやく終わりにしよう。



そう私は決め、駆け出した。



スーパーに着いて、適当にカゴに品物を詰め込んでいく。



もう、こういう時に限って多く頼むんだから。



「終わった…」



私はお目当ての品物を買い、家路についた。



正直言ってとっくのとうに体力は無くなっていたため、もう歩くしかない。