私は飛鳥が背の高い女の人と歩いているのを見た。
飛鳥はなにやら親密そうにその女の人と話をして、楽しそうに笑いあっていた。
飛鳥、もしかしてその人、今カノ…???
いくら目をこすってみても、2人が幸せそうなのは変わらなかった。
しかも、飛鳥は大事そうにその女の人をバイクに乗せ、そしてこちらには目もくれずに走り去っていった。
「…っ」
私は無言でダッと駆け出した。
「うみちゃん!」
鮎斗くんが私を追いかけてくるのがわかった。
もしかして、見ていた…?
でも、今は鮎斗くんと一緒にいたくなかった。
きっと鮎斗くんは、私のことを可哀想だって思ってる。
哀れんで欲しくなかった。
だから、私はできるだけ路地に入った。
そうしたら、鮎斗くんを巻けると思ったから。
だって、速さで言えば男子に勝てるわけないじゃん。
だから、逃げなくちゃ。
だけど、私は鮎斗くんにすぐに捕まってしまった。
「…はあ、はあ」
お互い必死に走ったので、息がすごく切れてる。