鮎斗くんは首を傾げる。
「ユニセフ、の略…??」
「違うってば、ユニセックスの略」
「ユニセックス…???」
鮎斗くんの首が徐々に急角度に曲がってく…!!
「ユニセックスってのは、男女兼用の服のこと。ユニ(uni)ってのはひとつ、セックス(sex)っていうのは性別でしょ?それでひとつの性別って意味になって」
「はあ…へええ…」
あ、首が元に戻ってく。
よかった…。
「それ売ってるお店とかってあるかなー…あ、ここなら売ってそう」
私が見つけたのは、若い層に人気なとあるお店。
私の家の近くのショッピングモールにも入ってて、私もよく買いに行くようなところ。
「ここ行っていい?」
「いいよ」
鮎斗くんは頷いた。
***
「これもいいよね⁈でもこれも捨てがたいんだよな〜、でもこれもあんまりなさそうでいいかも…!」
「…」
ごめん、分かってる。
私がこんなに騒いでたら、鮎斗くんだってどう反応すればいいか分からないよね。
でも私お洋服大好きだから、どうしてもいろいろ見たくなっちゃうんだよね。
「ユニセックスのお洋服をお探しでしょうか…?」
と店員さんが声をかけてくる。
「もしかしてお二人で着る用ですか…!可愛いですね」
「あ…ごめんなさい。俺たちカップルじゃないんで」
とはっきり言う鮎斗くん。
「あ…あら、失礼しました」
その店員さんはぺこりと頭を下げると急いでいなくなってしまった。
「なにもあんなはっきり言わなくても良かったのに」
私はぽつりと言う。
「あれくらいさらーっと流しとけばいいじゃん?」
「まあ…な。でも俺、そーゆーのダメだから」
と真剣な表情をする鮎斗くん。
…好きな人でもできたのかな。
そうだとちょっと嬉しいかも。
だって可愛い好きな人の話をしてもらえるかもしれないじゃん?
男の子と恋バナできるじゃん?
めっちゃいいじゃん!!!