私は自分でバイクに乗っかろうとするが、ダメだった。



いや、乗れたは乗れたんだけど、スカートなのをすっかり忘れてた。



途端に顔を真っ赤にさせる飛鳥。



「ちょ、俺の身にもなって考えろよ!」



「ごめんごめん、何度も乗っけるの面倒かなって思って」



「いや別に、面倒じゃないよ…」



ふいっと顔を背けて、飛鳥がぼそりと言った。



耳赤っ。



「…あと、これ」



飛鳥は真っ赤な耳のまま、とあるものを差し出した。



「へ、ヘルメット…?」



意外。



「やっぱりこういうのはつけたほうがいいかなって思って」



「…確かに」



今までつけてないのがおかしかったのかな。



…ちょっと反省。



「ダサいかもしれないけど、鮎斗が被っとけって言うから。あいつ、ヘルメットしないで事故って大変だったらしい」



「そっか、あとでお礼言わなきゃね。…てか飛鳥のは?」



と私は尋ねた。今被ってないってことは…。



「俺のはない」



「え」



「別に、俺なら大丈夫だよ」



「大丈夫じゃないよっ!」



「いーから、いらないって。俺はお前より頑丈なの!」