「そう。蒼真は私の幼馴染なんだけど、割といい人でね。柚花の彼氏にしてもいいくらいの優男なの」
と谷川さん。
谷川さんの幼馴染で、しかも木花さんの彼氏である蒼真さん。
一体、どういう人なんだろうな。
一回会ってみたいな。
「で、ちょっとさっきたまたま耳にしちゃったんだけど、碧さんの彼氏ってどういう人?」
「へ⁉︎」
私は思いがけない話題に、素っ頓狂な声を上げる。
「碧さん、大人しくて可愛いから男子が残念がってたよ」
「え、それはない!」
男子が残念がってる…?
私、ほぼ男子と喋らないよ…?
しかもまず第一、可愛くないし…。
「あー、こりゃ無自覚だな。一番ダメなやつ」
くすっと笑う谷川さん。
その笑みは大人っぽくて、女子の私でもドキッとしちゃうほどだった。
…いや、谷川さんの方がなかなかの無自覚美人じゃないですか…。
「柚花もかなりの無自覚なんだけどね。碧さんもそうだったか」
「え、え!木花さんは分かるけど…」
だって木花さんは女の子の可憐さを詰め込んだような優しい子だもん。
こんな子、男子だったら誰だって惚れちゃうよ。
それに比べて、私は何もない。
可愛いわけでもないし、なにか特別なものを持っているわけじゃない。
そう考えると、飛鳥はどうして私を好きになってくれたんだろうって気になった。