結局、朱里が



「もう我慢できない!早く海のとこ行きたい!」



と言うので私は朱里に家までの地図を書いた紙と家の鍵を渡した。



なぜなら、私は行かないから。



今日はお母さんもお父さんもいないし、結構辛いはず。



けど看病に2人もいらないじゃん?



それにあんまり休みすぎると、先生に何か言われそうだし。



この前も怪我した時に休んじゃったしね。



「これってだれか呼んだ方がいいよね…?」



と私が言うと、朱里はぶんぶんと手を振った。



「いいってそんなのー。だって電車にちょっと乗ってちょっと歩くだけだよ?それに今授業中だし」



「いや、暴走族って授業ちゃんと受けてないイメージあるんだけど…」



それでたまたま授業を受けてない暴走族に見つかって、連れ去られたら…。



しかも海が熱出してるんだよ?



桜龍が戦いに挑めるような状況じゃないじゃん。



「…んもう。分かったよ、鮎斗でも呼ぶよ」



朱里がポケットからスマホを取り出す。



ああ、鮎斗くん可哀想…。



鮎斗くんはそこそこの進学校に所属しているらしい。



あくまで噂で本人には直接聞いたことはないけど。