「乗れ」
「…」
私はただその場に立ち尽くした。
いや、いきなり乗れだなんて言われて二つ返事で乗る人いる…?
「おい、海華。オレの言ったこと聞こえたか」
「え、ご、ごめんなさい…」
ギロリと睨まれ、渋々バイクに跨った。程なくしてバイクは勢いよく走り始めたので、私は慌てて彼に腕を回す。
「…どこ、行くの?」
「着いたら分かる」
彼の返事はそっけない。
…まあそうでしょうけど。
でもいくら実の双子だとしても怖いものは怖い。
バイクはものすごく快適だ…と言いたかったけど、暑すぎて汗でワイシャツがびしょびしょ。
だってもう7月なんだよ。
暑くて暑くて。
着いたのは普通の一軒家。
唖然とした私に、
「なんだ、知らなかったのか?父さんと母さんヨリ戻すんだって」
大西海が声をかける。
「え!」
は、初耳。
「何で…」
「知らん。自分で聞け」