結局机をくっつけて教科書を貸すのは嫌なので、私は他クラの友達に教科書を借りて自分のものを大西海に渡した。
大西海は不満そうだったが、私は知ったこっちゃない。
「海華」
帰りに名前を呼ばれた。
「何」
つっけんどんに言うと彼は少し眉を上げたが、
「ちょっとついてこい」
「は?」
私の意見は聞かずに腕を引っ張ってくるし。
助けを求めようと朱理を見ても、手を振られるだけだし。
でも、…ここで逆らったりしたら殺されるかもしれないもんね。
そう思うと、ずしりと彼に掴まれている腕が重くなったような気がした。
ついた先は駐輪場。
自転車に乗って帰るのかと思ったら…。
「え、ば、バイク…」
彼が手を置いたのは大きなバイク。
思いがけないものに目を見開く。
そんなん持ってたんだ。
しかもこれ絶対に原付バイクじゃないし、なんかすごいゴツゴツしてて派手だ。