「今日、夏祭りがあるみたいだな。朱里、一緒に行かないか?」



近所に設置してある掲示板を見て、黒炎君が呟いた。その目は、何故かキラキラと輝いている。



「え? 夏祭り?」



私を誘うってことは、もしかしなくてもデートのお誘いだよね? って、なに浮かれてニヤついてんの、私。


黒炎君は普通の男の子と少しだけ違うところがある。だから、これにも何か裏があるはず。


「やっぱりギャルゲーのイベントと言ったら夏祭りだよな!
一度リアルで行ってみたかったんだよなー。
小学生の頃に行ったことあったけど、あの時はまだガキでお金のことばかり気にして、十分に楽しめなかったし。でも、今は俺たち高校生だしな!」



「そ、そうだね・・・た、楽しみだなぁ~」


“やっぱりか”と心の中で小さな溜息をつく。