私は意を決してこう言った。


「三組の速水瞬、くん……」

 言っている間に、「大丈夫かな……」と不安になってしまい、声がしりすぼみに小さくなっていった

 ――しかし。


「あー! なるほどねー!」

「かっこいいもんなあ、瞬のやつ」

「狙ってる子多いよねー」


 ごく小さな声で言ったにもかかわらず、みんなは大いに盛り上がってくれた。


「で、でも本当にかっこいいなって思ってるだけで! 好きとか、気になるとか、そういうんじゃないからっ!」


 念の為そう付け加える私。

 瞬くんのことをかっこいいって思っているのは本当だし、一応嘘をついている訳では無い……はず。

 するとクラスメイト達は「わかってるって!」「かっこよすぎて付き合いたいって言うか、目の保養って感じだもんねー」と、頷きながら言ってくれた。

 予想通りのみんなの反応に、私は安堵する。

 暁斗と同じくらい、女子に大人気な瞬くん。

 彼ほどの人なら、思いを寄せている女子も多いはず。

 きっと本人だって、誰かから好意を向けられることに慣れているに違いない。

 瞬くんとは、実は今日初めて会話をした。