ど、どうしよう。

 これを崩したら私が暁斗が好きだって、クラスのみんなにバレてしまう……!

 そんなことを考えていたら、手がプルプルと震えてしまった。

 安全そうな場所を選んだつもりなのに、自分が振動しているせいかタワーが大きく揺れ出した。

 ――そして。


「きゃ、きゃー!」


 私の悲鳴と共に、ガラガラと音を立ててジェンガは崩れていってしまった。

 背筋が凍り付く私。

 しかしクラスメイト達は、「おおー!」「花梨が罰ゲームだねー!」「好きな人発表!」と楽しそうに盛り上がる。

 三十人以上もいる中で、まさか自分が負けてしまうなんて。

 どんな低確率なの?

 なんという不運……。


「で、誰なの⁉ 花梨の好きな人!」

「そういえば聞いたことないな―」


 密かに絶望している私だったけれど、人の色恋沙汰が大好物な高校生たちは、早く好きな人を教えて!とまくし立てる。

 沙也加は心配そうに私の方を見ていた。

‪ でもこの状況に水を差すことは沙也加にだってできないだろう。

 どうしようどうしよう。