そういう人たちは堂々と自分の恋人を好きって言えばいいってわけか……。
だけど暁斗に秘密の恋をしている私には、当然彼氏なんかいない。
もちろん、暁斗にはこの気持ちを絶対にばれたくないから、本当のことなんて言えるわけはない。
ど、どうしよう……。
などと思っているうちに、ジェンガが始まってしまった。
「あはは、緊張するー」
なんて笑いながらも、みんなスムーズにブロックを取っていく。
時々グラグラして危ない場面もあったけれど、詰み上がったジェンガタワーは崩れなかった。
私の前に誰かが失敗してくれますように……。
そんないけないことを考えていたせいかもしれない。
不幸なことに、私の番まで回ってきてしまった。
しかも、ブロックがたくさん抜かれたジェンガはかなりアンバランスな状態だ。
息を吹きかけただけでも倒れそうに見える。
「花梨の番だよー」
「頑張れー!」
能天気に応援してくるクラスメイト達。
私はごくりと唾を飲み込んで、ブロックに手を伸ばす。