暁斗に変な風に思われていないかな。

 心配になった私は、手のひらの指の隙間から暁斗を盗み見た。

 すると、暁斗がひどく不安げな顔をしていたので、私は驚いて手を下げる。


「暁斗……?」

「……花梨、ごめん。嫌だった?」

「え……?」


 意外なことを聞かれた気がした。

 もしかして、息苦しさが顔に出ていたのかもしれない。

 それで嫌だって思われたのかな?


「い、嫌じゃないよ!」

「……本当?」

「本当だよ!」

「最近、花梨悩んだ顔してること多いから……。瞬の言う通りなのかなって、やっぱり思えてきて」

「え……」


 瞬くんが少し前に、私に「最近深刻そうな顔している」って言っていた。

 暁斗にもそう見えていたってこと?


「べ、別に悩みなんかない!」

「そう?」

「うん!」


 私が思い切り頷くと、暁斗はじっと私を見つめた。

 とても神妙な面持ちに見えた。

 次に彼が紡ぐ言葉は、きっと大事なこと。

 直感で分かった。


「……花梨。俺、本当は」


 私が心を研ぎ澄ませて聞こうとした暁斗の言葉は、途中で遮られてしまった。