そう言いながら暁斗は、椅子に座った。

 そして私に視線を合わせながらも、顎で向かいの椅子を指し示した。

 ――座りなよ。

 暗にそう言っているのが分かった。


「う、うん。ふたりで飲むやつ……だね」

「じゃあふたりで飲もう」

「――うん」


 はっきりと言われて、私は恐る恐る椅子に座った。

 心臓がドキドキと、大きく音を立てて鼓動する。

 ピンク色のジュースの中に、カラフルでかわいらしいタピオカの粒たちが沈んでいる。

 そして赤と青の二本のストローが、堂々と刺さっていた。

 暁斗がストローのうちの青い方をくわえた。

 少しだけカップの中のジュースが減る。

 そして彼は、正面でどぎまぎしている私に、目配せした。

 ――飲もうよ。

 視線がそう言っていた。

 私は恐る恐る、赤のストローを指でつまんで、できるだけ暁斗から放す。

 ……だって恥ずかしい。

 暁斗とひとつの飲み物を共有するなんて。

 唇が触れ合いそうなくらいの至近距離で飲み合うなんて。