だけど実際はラブラブには程遠い。

 いきなりあんなカップル御用達飲み物を共有するなんて、ハードルが高すぎる。


「つまんないの。そういえば暁斗はどこ行った?」

「人が多いの苦手だから、屋上でも行ってるんじゃないかなあ」

「暇なのかよ。俺らこんなに忙しいのに、ずるい奴―。あ、それなら暁斗にちょっと手伝ってもらおうかな~」

「え、何を?」


 お客さんで混雑しているとはいえ、人手が足りていないわけではない。

 わざわざ暁斗を連れてきて手伝ってもらうことなんて思いつかなかった。

 なぜか瞬くんはとてもニヤニヤしている。


「いや、さっき思いついたドリンクの試飲を誰かにしてもらいたくてさ。暁斗と花梨ちゃんにおいしいって言ってもらったら、お店に出すことにしようかなって」

「ふ、ふーん?」


 それなら今ここにいるクラスメイト達にやってもらってもいい気がするけど……。

 と、思ったけれど、暁斗と私を指名する理由があるのかもしれない。

 よくわからないけど。


「っつーわけで俺ちょっと暇人暁斗を呼んでくるわ。花梨ちゃんも準備が出来たら呼ぶから~」