瑠璃も働く時間は確か午後だったから、教室にはいなかった。

 のどかな屋上で昼寝でもしているんだろうと、暁斗の様子を想像していると。


「すみませーん! あいあいタピオカドリンクひとつー!」

「は、はーい!」


 お客さんに注文をされて、慌ててメモを取る私。

 あいあいタピオカドリンク、人気だなあ。

 これは大きめのカップにピーチマンゴーのピンクのジュースと、カラフルなタピオカを入れた、カップル専用のドリンクだった。

 カップル一組につきひとつが提供されるので、カップには二本のストローが刺さっている。

 調理担当に作ってもらったあいあいタピオカドリンクを、注文した他のクラスのカップルに提供する私。


「おいしいねー!」

「う、うん」


 楽しそうに言う女の子と、どこか照れ臭そうにしながらも、頷く男の子。

 ジュースを挟んで目を合わせるふたりは、終始嬉しそうに微笑みあっていた。

 ――いいなあ。

 素直にそう思った。

 誘ったら暁斗は一緒に飲んでくれるのかな。