「で、でも、あたしがじゃまなんでしょ? だから軟禁して、劣った姉より優れた妹を手に入れようと……」


「それはちがいますよ」




食い気味に否定してきたのは、赤羽くんだった。

やけに真剣な面持ちで、あたしと組長を見据えている。




「組長とつむぎ様は、とうに結託しておられます」


「え?」


「むしろ、つむぎ様の意思を、白鳥家が阻んでおられるのです」


「ど、どういうこと……?」




つぅちゃんと白鳥家の関係を、父さんが引きはがそうとしてるんじゃないの?


欲しかった存在がすでに手中にあるなら。

それなら、あたしは、何のために……。




「それが事実なら、あたしはもう用なしじゃない……。あたしを閉じこめようとするワケは、何……?」


「お嬢のためなんです」


「……何が? 何が、あたしのため?」


「組長はお嬢のためにずっと……!」




兵吾郎の正面に、父さんの手が掲げられた。


ストップの合図。

室内がしんと静まり返った。




「やめろ、兵吾郎」


「い……いい、え。……いいえ、組長! 伝えるべきなんです」


「! アニキ……」




初めてだ。

父さんに忠実な、あの兵吾郎が、命令に背いた。


意を決したように父さんの手を下ろし、ごくりと生唾を飲みこむと、兵吾郎はあたしと目線を合わせ、やわくほほえんだ。




「お嬢、聞いてください。組長はずっと、お嬢のために努めてらっしゃいます」


「う、うそ……」


「うそではありません。お嬢のことを必死に守っているんですよ」


「守る? 誰が」