「なおさらって、意味わかんない!」
「部屋で静かにしていろ」
「は? なんでよ! おかしいじゃん! どこにいても父さんにとっては不利益なんだから、あたしの自由にさせてよ!」
バカなの? 話、聞いてた?
いつまで縛りつける気なの。ジジイの俺様なんか需要ねぇよ!
怨霊を見ようが、白い目で見られようが、あたしは何も変わらないのに。
「なんで……なんで、閉じこめようとするの。そんなにつぅちゃんを手に入れたい? あたしを囮に使って、また妹を振り回すの?」
「必要なものを欲して何がわるい」
「つぅちゃんは物じゃないし、あたしを駒扱いすんな! ……外では、うざいくらいつけ回して、傷つけてきたくせに」
「……? 傷つけた?」
ふと兵吾郎が首をかしげた。
そのキョトン顔、なに。とぼけるつもり?
イライラしてるときにその顔されるとムカつくね?
「魁運の家でも、繁華街でも、秋祭りのときだって、あたしに刃を向けてきたでしょ」
「何のことですか?」
「繁華街と秋祭りの件は報告しましたが、ほかにもあったとは……」
「とぼけるんだ? へぇー……」
「ご、ごご、誤解です、お嬢! 白雪組は関与していません! 一度神社を訪れて以降、GPSで見守っていただけで、お嬢に危害を加えたことは一度もありません!」
兵吾郎も赤羽くんもキョドってる。あやしー。
GPSで見守るのもそうとうキモいってこと、自覚してる?
「組長からも何か言ってあげてください!」
「……わたしがそんなみみっちいことをするか、阿呆」
説得力があるような、ないような……?
16年親子やってるけど、父さんのことあんまり知らないし。
知ってることといえば、まったくもって親らしくなくて、厨二病ってことくらい。