「白鳥家の巫女は、代々、短命でしょう?」
「ひとみ……? いきなり、何の話……」
「あたしも、例外じゃない」
「え……っ」
「あたしだってふつうじゃない。だけど、つぅちゃんとはちがう。おんなじだったら、まだ、よかったのにね」
生まれつき、瞳の色がなかった。
物心がつき、自分がふつうではないと自覚したころ。
お告げを授けられたかのように、ふ、と悟ってしまった。
産まれ堕ちたそのときから、あたしの人生の長さは切り取られていたのだ。
生と死の境界を失くす、その代償として。
言霊の力を継いだ、か弱い妹は、自らの意志で神様に生命を還す。
しかし、あたしは。
神様が勝手に、生命を半分奪い取っていった。
妹より劣っているうえに、寿命もはじめから他人より短いなんて、どんな嫌がらせだろう。
どれほどがんばっても、ふつうにはなれないし、魂を分けた片割れと重なり合うことはない。
「今の話、本当なのか……?」
あぁ、もう、魁運。
なんて顔をしているの。
ワケありのワケを聞いて、泣きそうになっちゃった?
かっこいい顔が、ふにゃふにゃにふやけて、かわいらしい赤子みたい。
泣かないで。泣くならふたりきりのときがいい。
大丈夫。そう言ったでしょ?
これからすぐの話じゃないんだから。
まだまだ時間はある。
「ひとみ様……」
「お嬢が、まさか、そんな……っ」
「……それならばなおさら、部屋から出るな」
悲嘆に暮れる目付け役ズとは対照的に、父さんの目つきは一貫として鋭いまま。
ひでえ父親だな! おめえはちっとは悲しめ!