「料理以外にも教えてもらっていますよ。ひとみ様の学習状況や、生活習慣、感情の起伏……それから、生理周期も」


「なっ!? ど、どこまで教わってんの!? プライバシーの侵害だ!」


「あれ? 聞いてないんですか?」


「何を」


「今度からひとみ様のお目付け役は、ぼくに代わるってこと」


「ゲホッゲホッ!」




ついむせてしまった。

変なところに入って、せきが止まらない。


水を一気飲みした。




「な、なんで!?」


「この役目は毒林檎の会の最年少が担当する習わしになったんです」


「習わしになったって何それ……。つぅちゃんの警護は?」


「ほかのメンバー、それこそアニキが務めることになるのでは?」




正直、あたしのお目付け役なんて誰でもいい。


だけど、つぅちゃんの護衛役までころころ替えちゃっていいの?


信頼関係とか、相性とかさ。

大事なことたくさんあるよね?




「そのためにわざわざ白園学園に入学したんですよ。ぼくが幹部になるのはだいぶ前から予定されていたことなので」


「ご苦労様」


「軽くないですか?」


「別に」


「まあ、ひとみ様が受験を蹴ったおかげで、水の泡になってしまいましたが」




赤羽くんは現在、高校2年生。

ということは、約1年半前から決まっていたの?


それが最近になってつぅちゃんの護衛役を担っちゃうんだ?



あたしを監視するためだからって、めんどうなことするね。

変な習わしなんか作ったりするからだよ。


はじめから、ほかの人に監視と長期的な護衛を依頼していたら、赤羽くんの役目がすぐ異動することもなかったのに。