「お嬢は気づいていなかったかもしれませんが、つむぎ様の護衛の任は、組長が直々に派遣しておられます。――毒林檎の会のメンバーから」
「そう、ぼくも、幹部の1人。元からこっち側の人間なんですよ」
……してやられた!
気づかなかった。
ずっと気づけなかった……!
こんなに近くに監視役がついていたのに。
つぅちゃんを出しに使って、あたしを見張っていた。
だから繫華街や秋祭りに都合よく敵襲があったのか。
よくよく考えれば見抜けたかも。……いや無理だろ!
「幹部どころか組員の顔、兵吾郎以外知らんわ!」
「ぼくはお写真で知っていましたよ」
「なに写真て。いつどこの写真よ」
「それは……」
「言えないような写真なの!? ……もしや、あたしが山にいることも、その盗撮要員からのリークじゃないでしょうね」
なぜここで苦笑する、赤羽氏。
答えを知るのが怖いんだけど。
「兵吾郎! 答えなさい!」
「ええっと……け、携帯の……」
「携帯? あたしの?」
「はい……。そ、その……GPS機能を、ちょっと細工しまして……」
ワッツ?
じーぴーえすだあ?
プライバシーのへったくれもない、あの?
へぇー? あー、そう。
あたしの携帯にご丁寧に仕込んでたんだ。ふーん??