車で10分
そんな道のりが、俺にはすごく長く感じた。
「ん、ここ。
二階の、一番奥の部屋ね。
で、どうする?
振られたときのために待ってる?」
「…いえ、大丈夫です。
俺が絶対、莉乃さんを大学に連れていきます」
俺はそういって、車を降りた。
二階の、一番奥の部屋。
俺はそこまで走っていき、インターホンを押した。
そしたら
「はーい」
と、いつも通り過ぎる莉乃さんの声が聞こえた。
「快です」
「…え!?」
俺のその声に、チェーンを外す音が聞こえて、ドアが勢いよく開いた。
「すみません、突然」
「え、いいけどなに、どうしたの?」
「さっき、莉乃さんのお友達に
今日莉乃さんがきてないって言われて…」
「え、うん
今日休講になって午後からなんだよね」
「……え?」
え、なにそれ
どういうこと
「え、っと…
え?それで快が来たの…?」
「いやだってなんかあの人たちに莉乃さんへのいじめがヒートアップしてるって言われて…」
「あー…、でも私そんなの気にしないって言ったでしょ?」
「……やっぱり、いじめられてるんですね」
「ん、でも全然気にしてないから大丈夫!
快は気にしないで。ね?」
そういう莉乃さんは、なんかやっぱりどこかぎこちない。
…そうさせたのは俺なんだけどさ…