「あなたが近づいたから、莉乃はあなたが大事になっちゃったのよ」
「え?」
「あなたを守ろうと、一生懸命戦ってる。
あなたが平穏に過ごせるようにって、莉乃をいじめる人たちに必死に訴えてた。
それなのに、あなたはなんにもしないの?」
その言葉に、俺はなにも言えなくなってしまった。
まさか、そこまでしてくれてるとは思えなくて…
だって俺、莉乃さんにひどいことしたのに…
泣かせたのに…
「好きなら、ちゃんと守りなさい。
男でしょ?」
「えっ…」
「守られてばっかだから、お前はいつまでたっても後輩なんだよ。
男に見られたいなら、男を見せろよ」
俺はその言葉にハッとした。
そういえば俺、なんにもしてねぇ。
ただ莉乃さんを困らせて、泣かせて…
…そりゃ、男に見えないよな…
「ほら、立って立って」
「…え?」
「行かないの?莉乃のとこ
今なら車で送ってってあげるけど」
「…行きます。お願いします」
俺はすぐに立ち上がった。
簡単なことだったんだ。
莉乃さんをどうしたら守れるか
なんで俺、離れることばかり考えていたんだろ。