俺の周りは相変わらず女ばかり。
だけど俺にもう逃げ道は残っていない。
…最初から、逃げるところなんてなかったのかもしれないな。
「ちょっとどいてー」
そんな俺のところに、珍しく男が近づいてきた。
「おう、ちょっと顔かせや」
「……え?」
来たのは、前俺のとこに莉乃さんの作った昼飯を持ってきたあの男友達と、莉乃さんの友達だった。
「なんですか?」
「俺、お前に守れないなら中途半端なことするなって言ったよな」
「……それが?」
「だったら、なんでお前はまた宮瀬に手を出した?」
「……え?どういう意味ですか?」
話が通じない俺に、女の方が俺にスマホを渡してきた。
「これ。新しく出回ってるやつ」
スマホには、俺が莉乃さんにキスしてる写真だった。
「お前ら付き合ってんの?実際んとこどうなんだよ」
「…付き合ってないです。
これは俺が一方的にしただけで」
「だよな。
付き合ってたら、もっと宮瀬のこと守ってるよな」
「……もしかして、莉乃さんまた…」
「また、どころかヒートアップしてんだよ。
今日なんて来てもいない」
「……え?」
「だから守れないなら中途半端なことすんなって言ったんだよ!」
その怒鳴り声も、俺には響かなかった。
俺はまさかそんなことになってるとは思いもよらなくて…
「ねぇ、宮瀬くん
好きならさ、堂々と守ればいいじゃない」
「…俺なんかじゃ、守れないですよ」
「それだったら、最初から近づかないでほしかったな」
そういう彼女の顔は、めちゃくちゃ怖かった。