「なんで、突き飛ばさないんですか
なんで殴らないんですか」

「…だって、私が快のこと拒絶したら
快、また女性不信にならない?
そんなことで嫌ったら、また信じられなくなるでしょ?」

「……え?」

「これ以上もう快を傷つけたくないよ…」


怖いんだ。
また、私のせいで快が誰かのことを信じられなくなるのが。

そして、私が嫌われるのが。


嫌いになってほしくないんだ。


「……すみません。
どこまでも自分勝手で。

俺もう莉乃さんに近づきませんから」

「えっ…」

「お疲れさまでした」

「ちょ、快…!!」


そう呼び止めたけど、快は止まってはくれなかった。