「じゃあ快は莉乃ちゃんと交代ね!」
そんな佐野さんの声が、ここまで届く。
なんでよりによって私なんだ…って、私今日シールなのか…
そりゃこの時間出されますよね…
「莉乃さん」
「…仕事中でしょ」
「帰り、店の裏で待ってます。
来てくれるまで待ってるんで、きてくださいね」
それに、なんの返事もできず、私はレジを出た。
に、しても
快はいったいなんの用があるんだろう?
仮に私が昼間行けなかったことを気にしてて理由を知りたいなら、それこそLINEでいい気がするしな…
なんでそこまで直接話すことにこだわるんだろう?
まぁ、今は仕事に集中しよ…
チーフに怒られるわ…
***
それから22時まで仕事を淡々とこなし、無事に今日の勤務終了だ。
「莉乃さん!」
いつもなら快と一緒にタイムカードをおして更衣室前まで一緒に行くけど
今日はさっさと一人で行ったら、更衣室前で快に手を掴まれた。
「…なに?」
「あの、きてくださいね?」
快がすごい不安そうな声でそういうから、なんでこの子はこんなに不安そうなんだろうと不思議だった。
だって、行かなかったのは私なのに。
「…大丈夫、ちゃんと行くから」
私はちゃんと快の目を見て笑顔でそう言うと、快は私の手を離した。