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「よう」
「……え?」
莉乃さんの車の横で、莉乃さんを待っていたのに
来たのは、莉乃さんの男友達だった。
「これ、宮瀬から」
「え、あぁ…」
え、なんでこれだけ?
莉乃さんは?
「…宮瀬快って、お前だろ?」
「はい、そうですけど」
「お前はこれ、知ってんの?」
そう差し出されたスマホの画面には、昨日俺が莉乃さんを抱きしめた瞬間の写真がSNSで拡散されてるものだった。
「……っ!」
「お前の噂は俺も知ってる。
だから、この写真が出回ってて、宮瀬の代わりに俺がこれを持ってきた。
それでだいたい、お前にも察しつくと思うけど」
「え…」
もしかして、莉乃さんも…
誰かに、なにかを…
「一応宮瀬の友達として言わせてもらう。
本気で守るつもりがないなら、手を引くべきだ。
こういうことするくらいだし、お前宮瀬のこと好きなんだろ?
だったら、中途半端なことはやめるべき。
じゃなきゃ宮瀬、ずっと泣くことになるから」
えっ…?
「……莉乃さん、泣いてましたか?」
「……俺からはそれだけ。
じゃな」
「あ、ちょっ…」
「あ、宮瀬ならそこの喫煙所にいたから。
まぁもういないかもだけど」
莉乃さんのお友達さんは、そういってさっさと言ってしまった。