「ご、ごめ…
藤澤、美優のとこ戻っていいよ
今日記念日じゃん」
「それが美優ゼミの教授に捕まってさー
残念ながら一人飯なわけよ」
「あ、そうなんだ。
残念だね」
「ほんとだよ!
…でも、俺きてよかったわ」
藤澤はそういって、私の髪の毛を必死に直してくれた。
ま、藤澤がやることだから気休めにしかならないんだけど、それでも私にはすごく癒される時間だった。
「……ね、藤澤
ちょっと頼まれごとしてくれない?」
「仕方ねぇなぁ。何?」
「あそこの駐車場に、私の車が止まってる。
そこに男の子が待ってるから
これ、渡してきてほしいの」
「ん?なに、これ」
「お昼ご飯。今日一緒に食べる約束してたの。
でも…ちょっとこの髪の毛とこの顔じゃいけないから…」
私がそういうと、藤澤はそれ以上なにも言わず、作ってきたお昼ご飯を持って駐車場へと向かった。
「……よいしょっと」
私も、いつまでもここにはいられない。
とりあえず移動しようと、近所にある穴場の喫茶店へと移動することにした。