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結局、西野くんとは3時半には別れ、家のことをして、ご飯も済ませてから私はバイトに来ていた。


「ってか今日も快いるじゃん」

「あ、本当だねー
快、よく入ってるねー」


佐野さんと、今日のシフトやみんなのやることを確認していたら、まーた快と一緒。
今日は私がシールで快がパンか。ってことは完全一人立ちだね。

私は快がパンやる時間にレジかな。


「ってか今日の夜雨だってー
莉乃ちゃんちゃんと窓閉めてきた?」

「いやいや、女の子の一人暮らしですよ?
いつも閉まってますから!」

「あはは、そうだよね」


そんな他愛もない話をして、今日もレジを打つ。
にしても、この時間はまだまだ仕事帰りの大人たちが多いのに、快が来ると途端に若い女の子が増えるんだよなぁ。

快の影響は偉大だ。


そういえば今日大学で見た快も女の子に囲まれてたっけ。
…イケメンってすげ。


私なんて、小さい子とおじさんくらいにしか人気ないわ。


「おねえちゃーん!」


お?


「あ、コーラ、走っちゃだめだよ」

「へへ、ごめんね!」

「まりちゃん、お母さんは?」

「あそこ!」


そう言って指さすほうにはこちらに歩いてくる、まりちゃんのお母さんがいた。


「こんばんは」

「こんばんは。いつもごめんなさいね」

「いえ、いつもありがとうございます」


まりちゃんは、前にうちの店で迷子で泣いていた女の子。
まだ4歳で、この春年中さんになったばかり。
迷子になったとき、ずっとサービスカウンターで遊んでいたからか、すっかり私に懐いて、私がいる日は毎回必ず顔を見せに来てくれる、かわいいかわいい女の子。

子供は大好きなんだけど、なかなか子供と触れ合う機会がないから
そう考えたらスーパーでバイトしてよかったなって。