糸くんはしばらく沈黙し思案しているようだったが、前のめりにハンドルにもたれ掛かり、


次に顔を上げた時には


「……分かりました」と覚悟を決めたみたいに、キラリと瞳の奥に青白い輝きを放っていた。



今まで足踏みしていた彼がやっと一歩先に進もうとした、そんな表情だった。



 車は私を乗せてヴァン・ダインへ向かっていた。着くなり、いつもの席に座るように言われ私は言われるがままに腰を下ろした。



様子の異なる糸くんにソワソワしていつもの席なのに、なんだか落ち着かない。


何を決めたのだろうか。



「ちょっと待っててください」



 そう言って2階へ行った糸くんは手に紙を持って降りてきた。