石川先輩は賽銭箱の上側にある本坪鈴を鳴らした。


私達5人は手を合わせて目を瞑り、それぞれお願い事を神様に伝える。


"毎日が楽しい日々でありますように"


新しい日々を充実して過ごせるように


私は1つ、そうお願いした。


「なにお願いしたの?」


その場を離れるとすぐ、日高先輩は私にそう言った。


「駄目ですよ、お願いは口に出しちゃ」


先輩には、同じことを聞き返さない。


「そうだね、ごめん」


彼はすぐ謝る癖がある。


きっとそれは、あなたが優しいから。


優しすぎるからだ。